さらに最近では、テレビやスマートフォンの照明にLEDが使用されている青みがかった光の刺激も問題となっています。寝る直前までこれらを見ていると、覚醒状態になって睡眠障害になったり、体内時計が狂ったりするということも指摘されています。現在その対策が研究されており、青い光線をカットするメガネなども登場しています。
■寄り目が進むと病的になり、立体視に支障が出ることも
人間の目の幅は約65ミリで、近いもの見ようとすると、ピントと視線を合わせるため寄り目になります。満員電車で鼻先の携帯を見ているのがまさにこの状態で、目の筋肉がかなり無理しています。人間の目は、近くから遠くまでピントを合わせられるようになっていますが、子供はさらにその範囲が広く、どんな距離にもピントを調整することができます。そのため、近くを見続けると過度な負担が目にかかり、その状態が長年続くと、最悪の場合、病的な状態の寄り目(斜視)になってしまうこともあります。寄り目になると、ものが立体的に見えなくなり、距離感もつかみづらくなります。大人の場合は、近くのものを見ても目が疲れる程度で済みますが、子供の場合は、そのような危険性をはらんでいるので注意が必要です。
■日常的にリラックスするトレーニングで目の疲れをリセット!
現代はスピード社会なので、メガネを作る場合にそれほど長い時間はかけられませんが、正しいメガネを作るためには、ある程度時間をかけることが必要です。多くの眼科では専用の機器で目の緊張を解きほぐしてから正確な視力測定を行っています。
現代人の目は、このように過酷な状況に置かれていますので、日常的に目をリラックスさせたいものです。家庭でもリラックスさせるトレーニングは可能です。近くのものを見続けた後は、意識的に遠くのものを数分間見るようにしてください。距離的には、5メートル以上で、ボーっと見るのではなく、遠くのものに焦点を合わせるように見ると効果的です。とはいえ、最近の住宅事情では、家庭の中で5メートルという距離をとったり、山を見つめるということも難しくなっています。そのような場合は、眼科医院で使用されている機器と同様の原理を取り入れたものを利用するのも手軽で良い方法だと思います。
とくに、子供は目の能力が非常に高く、柔軟です。近くから遠くまで幅広く見る能力がありますが、生活のほとんどを近くの部分を見ることに費やされています。そのため、緊張をリラックスさせるトレーニングは非常に有効です。
現代社会は、パソコンや携帯、スマートフォンなどの情報端末の発達により、仕事でもプライベートでも、1日中、視覚情報に接している傾向が進んでいます。高齢になっても、インターネットやテレビ、携帯なしでは生活できない世の中となり、老若男女とも目は過酷な状況に置かれています。情報端末を長時間、近距離で見続けると、目の筋肉の緊張状態が持続し、疲労が蓄積されます。昔は時々、遠くを見るなどして、目をリラックスさせることができましたが、最近は、夜遅くまで勉強したり、テレビやパソコンを見たりして、さらに寝床に入って携帯やスマートフォンをいじるという方も多く、目がリフレッシュする時間がどんどんなくなっています。このようなことを背景に子供の近視化傾向も進んでいます。小学生からゲーム機で遊んだり、携帯などを持たされたりしていますし、受験勉強も大きな要因です。小学校高学年から中学受験の準備の時期に、近視が大きく進むことは疫学調査でも明らかになっています。そして、高校受験、大学受験と、どんどん近視化が進んでいきます。本来は、外で遊んだりすることで、目が緊張から解き放たれてリラックスできたのですが、そのような時間も場所もありません。目を休めなければならないのは、野球の投手がアイシングをするのと同じことで、緊張した筋肉を休めなければ、次の日の投球ができなくなってしまいます。子供の目はリラックスできないまま、どんどん疲労が進んでいると考えられます。
オフィスの机に座って、同じ姿勢で長時間パソコンの画面を見続けるのは最も目のためによくありません。目を酷使する職業では、労働衛生管理の観点から、長時間作業する場合は一定間隔で休憩することが義務付けられています。立ち上がってコーヒーを飲みにいくなど、姿勢や気分を変えることも大切で、コーヒーの香りや味なども気分転換になります。目から入る視覚情報だけではなく、音や匂い、さらに冷たいタオルや蒸しタオルを目にのせて温度の刺激を与えるなど、五感を連動させてリラックスすることも効果的です。